『-one-』

僕の可愛いモンスター P5


「それのどこがモンスター?」

「ここまでは通常状態の麻衣さん」

「モンスター状態というのはいわゆる泥酔状態のこと」

 みんなが神妙な顔つきでウンウンと頷く。

「一体どうなるっていうんです?」

「まず、テンションがいつもの3倍は高い」

「可愛さも3倍増し」

「舌足らずな甘えた喋り方」

「そして何より…あの抱き着き攻撃!!」

 悠斗はウウッ…と目頭を押さえて泣きまねをすると隣にいた響が慰めるように背中をポンポンと叩く。

「ハァ…」

 新人はピンと来ないらしく中途半端な返事を返す。

「でもあんな可愛い人なら別にいいじゃないんですか?」

 その言葉に新人を除く全員がギンッと目の色を変えた。

「バカ言うなっ!」

「モンスターに攻撃されてみろ!理性の言葉の意味なんて分かんなくなるんだぞ!」

 一番の被害者である悠斗が熱弁する。

「そうっすか?俺なら別に…」

「殺されんぞっ!!」

 全員が口を揃えた。

 あまりの迫力に新人が後ずさる。

 響は新人の隣に立つとポンと肩に手を置いた。

「冗談じゃないからね。まぁ…手を出したいなら止めはしないけどこの店には居られないというか…ホストは続けられないかもね」

「どういう…バックにあっち系…とか?」

「違うよ。麻衣さんはうちのNo.1の婚約者だから」

 ポカンと口を開けた新人は信じられないとこっそりと二人の様子を覗きに行った。

 その後ろ姿を悠斗や響達先輩ホストが見送る。

「最近じゃ新人の洗礼みたいなもんだな」

「まぁアレを受け入れられなきゃこの店でやってけねぇってのは間違ってないしな」

「でも陸さんに憧れて入店した奴にはキツイと思うよ?」

「俺はあっちの陸さんの方も好きですけどね」

 響の言葉に皆も賛同した。


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