『-one-』

僕の可愛いモンスター P3


「いらっしゃいませ」

 悠斗が礼儀正しく頭を下げる。

 そしてそれに続く他のスタッフ達。

「こーんばんわっ!わっ!わっ!わっ!」

 モンスター登場。

 フワッと揺れるレース素材のスカートにカットソー、足元は涼しげなサンダルでペディキュアをした爪が目を惹く。

 わっ!わっ!と声に合わせてジャンプしながら店に入って来る。

 そして悠斗の前までピタッと止まる。

「わっ?」

 コテンと首を傾けた。

 この時そこにいた全員が同じことを思った。

(かっ…可愛い…)

「こんばんは、麻衣さん。今日は…会社の飲み会の帰りですか?」

「曲がるとこをー間違えちゃいました!」

 悠斗の質問への返事でない事は誰が聞いても分かった。

 麻衣は右手を額に当てて敬礼している。

 『モンスター迎撃担当』の悠斗としてはこれくらいで動揺することはない。

 悠斗はにっこりと笑顔を見せた。

 麻衣をエスコートしながら歩き出す。

「そういう時は俺に連絡をくれればいつでも迎えに行きますよ?」

「ほんとうですかー?」

「もちろんです」

 麻衣の意識が悠斗に向いている間に陸は自分の客を見送る為に席を立つ。

 途中で二組はすれ違うが麻衣は悠斗に向かって一生懸命話しかけているので気付く事はない。

 すれ違う瞬間に陸と悠斗は視線を交わした。

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