『-one-』

男の責任!? P17


 『CLUB ONE』はまるで美咲が貸切ったかのように他の客は居なかった。

「ドンペリで乾杯しなくっちゃ!」

 女王様のような美咲の一声で全員に行き渡るようにドンペリが開けられた。

「美咲さん、なにに乾杯しますか?」

 グラスを渡した誠が中心に座る美咲に声を掛ける。

「私と麻衣の変わらない友情に!」

 美咲の言葉に皆が一瞬ポカンとしたものの派手に乾杯をして次々とグラスを空けた。

「美咲さん嬉しそうですね。何かいい事でもありましたか?」

 麻衣の隣に座っていた陸が声を掛けた。

「そっいい事があってね。今日は祝杯なのよー。ねー麻衣!」

「もぅ分かったから!」

 店に入る前に今回の事は口止めしておいたのにいつポロッと口にするんじゃないかと気が気じゃない。

「二人だけでズルイな。俺たちには教えてくれないの?」

「えーどうしようかなぁ」

 理由を聞きだそうとする陸がホストモードで美咲を落としに掛かろうとした。

 とぼけながら美咲が麻衣の方をチラッと見て笑った。

 もう!人の事だと思って楽しむの止めてよね。

 怒った顔をして美咲の顔を睨みつけた。

「麻衣がオッケーしてくれたら話すんだけどなぁ」

「なっ…美咲っ!!」

 大声を出してからハッと我に返った。

 過剰に反応しすぎて余計に怪しまれているのが分かる。

 隣りに座っている陸は美咲から麻衣へと視線を移した。

 プライベートではあまり見せない色っぽい表情で麻衣の顔を覗きこむ。

「何があったの?」

 低く甘い声で誘惑するかのように語りかける。

 ズ、ズルイ…。

 こういうのに弱いってのを知っててワザとしてるんだから。

「俺にも教えて?ん?」

 体の芯から蕩けてしまいそうな声が麻衣の決心を鈍らせてしまう。

 見ちゃいけないと分かっていても一度その瞳に掴まってしまったらそこから逃げ出せなくなる。

 陸に囚われて身動きが出来なくなる。

 ONEの陸にかかれば簡単に身も心も思いのままにされてしまうのだ。

「その手には乗りませんよーだ」

 そんなホスト陸の甘い誘惑をかわせるのはただ一人麻衣だけだった。


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