『-one-』

男の責任!? P14


 同じ頃『CLUB ONE』のオーナールームでは仕事をする誠の横で陸がウロウロしていた。

「お前さっきからなんだよ…。うっとうしい」

 パソコンから顔を上げた誠が部屋の中を行ったり来たりする陸を睨みつけた。

 叱られた子供のような顔をした陸が大人しくソファに腰を下ろした。

「誠さんさぁ…」

「なんだ」

「んー…まぁいいや…」

 誠は再びパソコンに視線を落として売上を確認する作業を続けた。

 落ち着きなく体を動かす陸がチラチラと誠に視線を送る。

 キーボードを叩いていた手が止まる。

「言いたい事があるなら言えっ!ないなら客でも掴まえてこい」

 我慢できなくなった誠が机を叩いて大きな声を出した。

 だが陸はそんな事にも気にも留めずテーブルの上の雑誌をめくりながら頬を緩めている。

「誠さん…俺さぁ…」

「だから…なんだっ!」

「俺…父親になるかも〜?」

「あーそぅ、良かったな」

 誠は面倒くさそうに返事を返して仕事の続きをしようと顔を伏せたが怪訝な顔をしながら頭を上げた。

「今…なんつった?」

「んーだから…親父になるかもしんないんだよね」

「お、親父って…お前…まさか…」

 誠は慌てて立ち上がると陸に駆け寄った。

 照れくさそうに笑う陸を見てポカンと口を開けたままの誠はその場に立ち尽くした。

「いや…まだもしかしたら…って感じなんで」

 そう言いながらも陸の表情はもしかしたらとは語っていない。

 誠はがっくりとうな垂れながらソファに力が抜けたように腰掛けた。

「マジかよォ…一応聞くけど相手は…」

「はぁっ?質問の意味が全然っ分かんないんですけど!」

「悪ぃ、悪ぃ…」

 真剣に怒った顔をした陸に慌てて手を合わせて謝った誠は話を整理しようと陸と向かい合った。

「…で?どーしてまたそんなのが分かったんだよ」

「妊娠検査薬見つけちゃって」

 男ならそこはもっと動揺するところだろう?

 思わず誠が突っ込みたくなるほど陸の顔は喜びに溢れていた。


[*前] | [次#]


コメントを書く * しおりを挟む

[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -