『-one-』

男の責任!? P12


 なんだかすごく温かくて気持ちがいい…。

 目を覚ました麻衣は自分がすっぽりと陸に包まれている事に気が付いた。

 抱きしめられてるってゆーより抱きつかれてるって感じ。

 麻衣は陸の寝顔を見ながらクスッと笑った。

 それにしても…これは絶対起こしちゃいそうだなぁ。

 がっちりと腕を回されて少しでも動けば陸が起きてしまう事は間違いなかった。

 寝かせておいてあげたいけど…。

「起きませんように…」

 小声で呟きながら麻衣は自分の体の上にある陸の腕をそっと持ち上げた。

「ん…」

 陸が少し体を動かして起きたのかと様子を伺った。

 だがすぐに規則正しい寝息が聞こえて来てホッとすると静かに腕の中から抜け出した。

 起こす事なくベッドから降りると振り返った。

 生理が遅れてる事…まだ言わない方がいいよね。

 喜んでくれるとは思うけど、万が一…悩ませてしまうような事になってしまったら…。

 はっきりさせてからの方がいいよね。妊娠してなかったらそれで今までどおりなんだし。

 それに…今子供が出来たら仕事はどうするんだろう。

 お父ちゃんみたいに…子持ちホスト?

 陸のそんな姿を想像したら思わず吹き出しそうになって慌てて口を押さえると寝室を出て行った。

 顔を洗って寝室に戻って来ると目を覚ました陸が麻衣の事を手招きした。

「ごめん、起こしちゃった?」

「んーん、おいで」

 腕を広げた陸が微笑んだ。

 あーぁ…私もほんと甘いなぁ。

 出勤前で時間がないのは分かっているけれど仕事では見せない愛くるしい笑顔を見せられては抗えない。

 麻衣は不思議な引力に引かれるようにベッドに腰掛けた。

「麻衣、大好き」

 抱きしめながら麻衣の首元に顔を埋めた陸が囁いた。

「どうしたの?何かあった?」

「ううん。麻衣が大好きってたくさん言いたくなった」

 不思議そうな顔をする麻衣に対して照れる様子もない陸は大好きと何度も囁きながら頬にキスをした。

「これからもずっと大事にするからね」

「うん…。何か恥ずかしいね」

「どうして?本当の事だから俺は恥ずかしくないよ」

 それは職業病とも言うと思うんだけど…。

「麻衣…仕事無理しないようにね?」

 エッ?

 麻衣はドキッとして陸の顔を見た。

「ん?」

 顔を見合わせながら麻衣の心臓はスピードを上げて動き出した。

 も、もしかしてバレてるのかな?

「麻衣ー、支度しないと遅刻しちゃうよ?」

 色々と考えを巡らせている麻衣に向って時計を指差している。

「えっ?あ…嘘ッ!こんな時間?」

 慌てて立ち上がって支度に取り掛かった。

 そんな麻衣の様子を陸は優しい眼差しで見つめていた。

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