『-one-』

男の責任!? P10


 いつもより長めにシャワーを浴びていくらか気分がスッキリして寝室へと戻って来た。

 起きる事なくぐっすり眠る麻衣の横へと潜り込もうとしたがクローゼットの電気が点けたままな事に気付いて立ち上がる。

 音に気をつけながら開けてスイッチに手を伸ばす。

 何気なく視線を向けた先で陸の動きが止まった。

 指先に触れていたスイッチから手を離すと違う方へと手を伸ばした。

 陸の視線のは麻衣のバッグに注がれている。

「これ…風邪薬って」

 バッグから少しはみ出している薬局の袋に手を伸ばした。

 風邪薬買ってきたって言ってたのに飲まなかったのか?

 ったく俺が薬飲まないとすぐ怒るくせにー。

 人の事言えないじゃん。

 バッグから引きずり出すと袋の中から中身を取り出した。

「…アッ」

 思わず大きな声を出して慌てて後ろを振り返る。

 麻衣が起きた気配がないのを確認するとホッと息を吐いた。

 や、やっぱり…そうなのか??

 初めて目にする妊娠検査薬をじっくり眺めた。

 まだ開封されてないところを見ると検査はまだみたいだ。

 風邪薬って言って誤魔化したんだ。

 麻衣が帰って来た時の出来事を思い出す。

 風邪だと言っていたからあまり気にしなかったけれど明らかに様子がおかしかった。

 でもこれで納得がいった。

 もう一度袋にしまうと元あったようにとバッグの中に戻した。

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