『-one-』

男の責任!? P9


 静まり返った部屋の中を帰宅した陸が音を立てないように歩いている。

 深夜3時過ぎ。

 麻衣はとっくに夢の中だろう。

 寝室のドアを開けて中の様子を伺う。

 暗闇に慣れた瞳はベッドの中で丸くなる麻衣の姿を簡単に見つけ出した。

 静かな寝息を立てて熟睡しているように見える。

 安心した陸は部屋に入って音を立てないようにと静かにクローゼットを開けた。

 一緒に住み始めた頃は小さな物音でも目を覚ました麻衣が寝不足になってしまって大変だった。

 だが慣れたのか最近ではちょっとの事では起きなくなった。

 陸はクローゼット内の小さな電気を付ける。

 小さな明かりなので麻衣が寝ているベッドまでは影響しない。

 時計やブレスレットを外してケースに片付けると寝ている麻衣の方へ視線をやる。

 俺からは聞けないよなぁ…。

 複雑な顔をしながらネクタイを抜き取るとまた動きを止めて今度は小さくため息を吐いた。

 出来てたって不思議じゃないよな。

 俺…調子に乗ってかなり中出しとかしてたし…。

 麻衣も大丈夫ーって言ってくれてたからいいかなーなんて簡単に考えてたけど…。

 今日スタッフルームでの話題からとんでもない事実にいきついた陸は仕事どころじゃなかった。

 麻衣が妊娠しているかもしれない。

 そればかりが頭に浮かんで他に何も考えられなかった。

 でも、もしそうなら麻衣が教えてくれるはずだよな。

 麻衣が何も言わないのならそれは俺の思い過ごしかもしれない。

 シャワー浴びてすっきりしよう。

 陸は寝室を出て行った。

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