『-one-』

男の責任!? P7


 付けたての陸の香水が麻衣の鼻をくすぐる。

 陸の温かい胸に抱きしめられて麻衣の強張った気持ちが少し和らいだ。

「時間、大丈夫?」

 麻衣を抱きしめて肩に顔を埋めている陸の背中を叩いて声を掛けた。

「んー顔見たら行きたくなくなるー」

 顔を上げた陸が口を尖らせた。

 麻衣の頬が緩んだ。

 さっきまであんなに沈んでいた気持ちが嘘みたいだ。

 陸のそばにいるとこんなにも穏やかな気持ちになれる事に驚いた。

「いってらっしゃいのチュウしてー」

 陸が甘えたように口を突き出して目を閉じた。

 麻衣は笑いながら少し背伸びして陸にキスをした。

「んっ…んぅッ」

 すぐに離れようとした麻衣の腰を抱き寄せると舌を差し込んで荒々しく舌を絡めてすぐに離れた。

「これぐらいしてよー」

 悪戯っ子みたいに笑いながら濡れてしまった唇を指で拭っている。

「もぅ!仕事遅れちゃうよ?」

「うん行って来るね」

「行ってらっしゃい」

 陸が寝室を出ようとして急に足を止めた。

「あれ?麻衣、具合でも悪いの?」

「エッ?」

 急にそんな事を言われて麻衣は目を丸くした。

「これ…薬局の袋じゃない?」

 ベッドの上に置きっぱなしにしてあった袋を指差している。


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