『-one-』

男の責任!? P6


 マンションに着いて鍵穴に鍵を差し込むと鍵が開いていた。

 あれ?陸鍵掛け忘れたのかな?

 不審に思いながら鍵を抜いて恐る恐るドアを開ける。

 開けると陸の革靴が慌てて脱いだのかバラバラになって脱いである。

 麻衣は靴を揃えてから部屋の中に入った。

「陸ー?いるのー?」

 いつもなら仕事に行っている時間だ。

 居るのか居ないのか分からない陸に声を掛けた。

「いるー!」

 奥の方から声が聞こえて麻衣はホッとした。

 陸は寝室のクローゼットを開けて立っていた。

「どうしたの?」

「んー常連さんがかぶちゃってー慌てて戻って来たとこ」

 なにやら必死に探し物をしているみたいだった。

「一人のブレスはすぐに分かったんだけど、もう一人の時計がどれだったっけなー」

 陸は右手を上げて銀色のブレスレットを振って見せた。

 たくさんある時計の中から2つ、3つ取り出して見比べては首を傾げて考え込んでいる。

「思い出したっ!これだ」

 大きく頷いて慌てて一つを手に取ると腕にはめた。

「焦ったぁ。…でも仕事前に麻衣の顔見れたー」

 振り返ると立っていた麻衣を愛おしそうに抱きしめた。


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