『-one-』
男の責任!? P5
次の日、会社帰りに駅の近くの薬局に寄った。
店内を見るフリをしながら目的の場所を探す。
すぐに見つかった。
「こんなにあるの…?」
妊娠検査薬でも色々な種類がありすぎて麻衣は途方に暮れた。
やっぱり信頼性のある方がいいよね。
パッケージを見て一番信頼出来そうなメーカーの物に決めて手を伸ばした。
あれ?
1回用と2回用があるの?
結局悩んだあげく2回用を手にとってレジへ向った。
ついにこんな物を買う日が来るなんて…。
紙袋を手に店を出ると思わずため息が出てしまった。
昨日から気が付けばため息を吐いている自分がいる、別に子供が欲しくないわけじゃない。
大好きな陸の子供を産むのはすごく嬉しい。
ただ…あまりに突然で唐突でまだまだ先だなんて思っていただけに心の中をぐしゃぐしゃに掻き回されたようだった。
簡単に言えば心も頭もまだこの事態を飲み込めていないだけ。
だけど…まだ妊娠って決まったわけじゃない。
生理が2ヶ月遅れているだけ。
たったそれだけの変えられない現実がやはり麻衣の心に重くのしかかる。
だって私だけの問題じゃない。
本当は陸に一番に相談しなくちゃいけないのに…。
こんな時生活が逆である事が半分不安で半分ホッとさせる。
陸に打ち明けるよりも先に私がやらなくちゃいけない事ははっきりさせる事。
手に持った検査薬が急に重く感じた。
「はぁーーっ」
重苦しいため息を吐きながら家路を急いだ。
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