「俺は結婚するのは麻衣しかいないと思ってるよ。」

　麻衣は真剣な顔をして聞いている。

「ただ…勢いで籍を入れるのは嫌なんだ」

　麻衣の表情が変わらないのを見て陸は言葉を続けた。

「麻衣の前にどんなにいい男が現れて麻衣を好きだと言っても迷う事なく麻衣が俺を選んでくれるその時まで…」

　陸の言ってる意味が分かった麻衣がハッとした表情をして目を見開いた。

　こんなの男の醜い嫉妬だって分かってるさ。

　そう笑われたって仕方がない、それでも俺はいつでも麻衣にとって一番の男で居たいんだ。

「俺が一番だって認めてもらいたいんだ。仕事も男としても…」

　麻衣の表情がフッと柔らいだ。

「やっぱりすごい気にしてたんだ。」

「気にするよ！気にするに決まってるでしょ！なんで麻衣の事好きって言う男はみんなホストなんだよー！」

「ほんと。ホストばっかり」

　麻衣がウンザリしながら答えると陸はハッとして麻衣の肩を掴んで強引に揺すった。

「麻衣！俺もホストなんだけどっ！」

　必死の表情で訴える陸を見て麻衣は吹き出した。

「何で笑うのー！ねー！ホストは嫌なの？麻衣ー」

「好きになった人がたまたまホストだっただけでしょ？」

　麻衣の言葉を聞いて陸はホッとした。

　そうだよな…最初から麻衣はホストなんか嫌いだって言ってたもんな。

　それなのに俺の事好きになってくれたんだ。

「それに今はそんなにホスト嫌いじゃないし」

　えーーっ！！

　えーーーーっ！？

「何それっ！じゃあホストから好きって言われたら嬉しいの？」

　ホッとしたのも束の間陸の心に嵐が吹き荒れた。

「り、陸…？」

　あまりの勢いに麻衣は後ろに下がった。

「麻衣？ホストの言う事なんて信じたらダメだよ！ほっんと口だけは上手いんだから騙されちゃうよ！」

　熱っぽく語る陸に麻衣は冷たい視線を投げかけた。

「もしもし？自分の仕事忘れてない？」

「俺は違うもん！麻衣の前ではホストじゃないもん」

　胸を張って自信あり気に答える陸に麻衣は笑いが止まらない。