『-one-』

小さな嵐 P24


「キス…された時ドキドキした?」

「…えっ??」

 麻衣は思いっきり動揺して目をキョロキョロ動かした

「どんなキスされたの?こんなの?」

 陸は麻衣の髪の中に手を入れて引き寄せると軽くキスをして離れて、もう一度唇を重ねると舌を挿しこんで軽く絡めてから離れた。

「見られちゃうでしょ?」

 麻衣が恥ずかしそうに陸の身体を手で押した。

 周りに人が居ないか確認するようにキョロキョロと顔を動かした。

「俺…見てたもん。麻衣がアイツとキスしてるとこ…」

「あれはいきなりだったの!」

「でも…ドキドキしたでしょ?」

「ドキドキじゃなくてビックリしたの!」

 陸は不安そうな顔をしながら麻衣の手を握った。

「ね…あの時の言葉ってなに?アイツと昔何があったの?」

 わだかまりは解いておかないといけない。

 それは二人が傷ついて得た大切な教訓だった。

「子供の頃、奏ちゃんのお嫁さんになるって言ったの」

 麻衣の言葉に陸の顔がみるみるうちにむくれていった。

 お嫁さんになる…。

「小さい頃の事だからね?」

 そんな事分かってるよ。

 だけど今でも覚えてんじゃん…、アイツだって…。

「今でもそう思ってんじゃないの?」

「陸?」

 ボソボソ呟いた陸の言葉に麻衣が驚いたように聞き返した。

「アイツだって麻衣の事嫁さんにしたいって思ってんだろ…だったらお前の小さい頃の夢叶えてもらえるんじゃ…」

「陸っ!いい加減にして!」

 麻衣は声を荒げて立ち上がった。

「そんなに私の事信用ないなら今すぐ籍入れよう!婚姻届貰ってくる!」

 早足で歩き始めた麻衣を陸が慌てて追いかけた

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