『-one-』

小さな嵐 P23


「好きだよ。年下でワガママで甘えん坊でも陸が一番好きだよ」

 麻衣はクスクス笑いながら答えた。

「俺はワガママでも甘えん坊でもないっ!」

 陸の頬がプーと膨れた。

「奏ちゃんの事…気にしてるんでしょ?」

 麻衣の顔から笑顔が消えて声のトーンが落ちた。

 そりゃ気付いてるよな?

 ここで気にしてないって言ったところで麻衣は信じるはずもないよね。

 陸は黙って頷いた。

 麻衣も黙り込んでしまって沈黙が続いた。

「あのさ…聞きたいんだけど…」

 覚悟を決めた陸がようやく口を開いた。

「麻衣はアイツの事好きだった?」

 聞いてどうするわけじゃないけどモヤモヤと考えてるくらいなら聞いてスッキリした方がいい。

「うん。初恋の人…かな」

 想像していたけれど実際に麻衣の口から聞くとこんなにダメージが大きいとは…。

 陸はガックリとうな垂れた。

「でも…今は陸が好きだからね」

 きっと俺を安心させようと言ってくれてるんだろうけど…。

 余計に落ち込むよ。

 だって今朝の…見てたんだよ?

「もうアイツの事なんとも思ってない?」

「……うん」

「嘘だー!今、間があったもん!」

 陸が大きな声を出して顔を近付けて覗き込んだ。

「ほんとは気になってる?」

「…気になってない」

 陸に聞かれた麻衣は棒読みで答えながら視線を逸らした。

 嘘つきー。

「…俺とアイツどっちが好き?」

「もぅ!陸だって言ってるでしょ?」

 だって気になるじゃん。

 俺の事好きだって言うくせに…アイツの事めちゃめちゃ気にしてんじゃん。

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