『-one-』
小さな嵐 P2
「…ん」
「朝だよー?起きろー」
「んんっ…」
体を揺さぶられているのに気が付いて体を丸めた。
「起きないと襲っちゃうぞー」
「ちょっ…と、陸ぅくすぐったいってば…」
耳元で囁かれながら首筋を撫でられた麻衣は鼻に掛かかる甘えた声を出しながら覗き込む顔に手を伸ばした。
「麻衣ちゃん、おはよう」
「おはよう、り…っ、きゃぁーーッ!!」
寝惚けながらようやく目を開けて飛び込んで来たのはサングラスに金髪の知らない人。
麻衣は叫びながら枕を投げ付けた。
「おいっ、落ち着け!落ち着けって!!」
麻衣を覗き込んでいた男は慌てて麻衣の上から体を退けて離れると慌てて声を掛けた。
「誰っ!?来ないでーッ!」
麻衣は半狂乱で叫びながらベッドの上でガタガタ震えている。
「俺だって!奏太、三田村奏太だって!」
奏太は金に近い髪を振り乱しながら必死に訴えた。
「そんな人知らないっ!出てってー!け、警察呼ぶわよっ!」
サングラスを掛けて金に近い髪に黒いスーツを着てシャツのボタンを3つ目まで開けたその風貌は麻衣には怪しい人物にしか見えない。
「おいおい…そりゃひでぇって。奏ちゃんだよ!奏ちゃん!麻衣ちゃーん!まだ分からない?」
奏…ちゃん?
聞き覚えのある言葉に麻衣はきょとんとした。
「奏ちゃんって?お隣の?犬にお尻を噛まれた??」
「ったー!変な事覚えてんなー!」
奏太は笑いながらサングラスを外した。
「久し振りー麻衣ちゃん?」
サングラスを外すと人懐っこい瞳に麻衣はようやく緊張の糸を解いてベッドにへたり込んだ。
「もーーっ!びっくりしたー」
「悪い悪い、おばさんがびっくりさせちゃえ!って言うからさー」
それは久し振りの幼なじみとの対面だった。
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