『-one-』

零れた想い P7


 俺って小せぇ男なんかなぁ…。

 陸は出勤前にコンビニに寄って雑誌を読みながらため息を吐いた。

 この前の麻衣の話をまだ引きずってる自分に嫌気が差している。

 それとも…俺の麻衣へ対する想いと麻衣の俺に対する想いの差みたいなのがこういう所に表れるのか?

 元々俺が強引に口説いたってのもあるけどどう見ても俺の方がずっとずっと麻衣の事を想ってる気がする。

 まぁ8歳も違えば恋愛に対する考え方とか付き合い方みたいなのも違ってくるかもしれないしけど。

「……くん?」

 あーぁ、俺らしくもねぇ!

 こんなグジグジ考えたってしょうがないってのに。

 今夜は久し振りに早く帰って麻衣を驚かせようかな!

「…塚くん?」

 んで…たくさんエッチしてたくさん麻衣に俺の事好きだって言わせてやるっ!

 そう考えていると急に楽しくなって持っていた雑誌を勢いよく閉じた。

「中塚くんじゃない?」

 ビクゥッン−

 いきなり名前を呼ばれた。
 
 慌てて声のする方に顔を向けると麻衣より背の高い、明るい茶髪をキレイ巻いた女が立っていた。

 誰…?

 自分の客じゃないよな…?

 苗字を呼ばれる事がほとんどない陸は警戒しながらその女の様子を伺った。

「えーっと、分からないかな?私、南中の小出奈津美!」

 女は親しげな笑顔を浮かべて一歩陸に近寄った。

 南中?

 って確かに俺も南中だったけど…。


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