『-one-』
零れた想い P4
陸は麻衣の昨夜の話を聞きながら(聞き流しながら)昨夜の事を思い返していた。
昨夜は同伴で年上の会社役員の女性と食事を済ませてから店に向う予定だった。
店へ向おうと客と歩いている時に思いがけず麻衣の姿を目にした。
あ、麻衣じゃん。
そういえば今日は友達と飲みに行くって言ってたな…
店この辺なのかな?
偶然にも愛しい恋人の姿を見かけて嬉しくなった。
客が隣にいなければ駆け出して抱きしめるのに…と客に気付かれないように熱い視線を送った。
が…次の瞬間麻衣が一人じゃない事に気付いた。
麻衣が隣にいる男に親しげに話し掛けていた。
誰?
麻衣の隣を歩く男を睨みつけた。
アイツ…顔を見てすぐに誰だか思い出した。
麻衣の見合い相手…honeyの優だ。
くっそ!
何してんだよ。
カーッと頭に血が昇るを感じた。
「陸?どうしたの?」
隣を歩いていた客に怪訝な顔で覗きこまれた。
「あっ…いえ…何でもないですよ」
「そぉ?」
「えぇ…行きましょうか」
客の背中に手を回すと再びエスコートした。
もう一度振り返ると男と麻衣は連れ立って歩いて行った。
…その結果が昨夜の飲みっぷりに見事に反映されたわけだ。
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