『-one-』
零れた想い P3
−翌日−
朝7時頃帰って来た陸はいつもより酔っ払っていてシャワーを浴びるとすぐにベッドへと倒れ込んだ。
麻衣は起こさないようにと静かに掃除や洗濯を済ませ、昼食の準備を始めた頃ようやく陸が起きて来た。
「おはよ…」
キッチンにいる麻衣を見つけて頬にキスをした。
「おはよ。大丈夫?顔色良くないみたい」
「大丈夫。麻衣、お水ちょうだい」
フラフラとした足取りで歩きながらテーブルに突っ伏すように座った。
「陸、まだ寝てたら?」
麻衣から水を受取った陸は一気に冷たい水を体に流し込んだ。
「はァーーッ」
陸は大きく息を吐いた。
「昨夜はそんなに飲んだの?」
「ん…まぁね」
誰のせいで飲んだと思ってんの?
陸はそんな胸の内を声に出すことはなかった。
「麻衣は?昨日楽しかった?友達と飲んで来たんでしょ?」
陸は頬杖をついたままだるそうに体を少し倒して麻衣の事をジッと見ている。
その顔はなぜか不機嫌そうにむくれていた。
「楽しかったよ!久しぶりに会ったからねー」
「ふぅん…久しぶりだったんだ」
相槌を打つもののその言葉はとげとげしく、麻衣を見る顔はさっきから変わる様子もない。
久しぶりに誰と会って楽しかったんだよ…
俺、見たんだからな。
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