『-one-』

親心 P2


 『CLUB ONE』開店前

「全員揃ってるか?」

 月二回のミーティングの為に全員が誠を囲むように座っている。

「陸さんが来てないですね」

 誠は見渡して陸の姿が無い事を確認すると一瞬険しい顔をして目を伏せた。

「悠斗何か聞いてないか?」

「い、いえ…」

 またか…?

 この所遅刻や欠勤が増えているのは誰が見ても明らかだった。

「まぁいい始めるぞ。中間報告から」

 誠は持っていたファイルを開いて視線を落とした。

「1位陸、2位響、3位ユキ…」

 売上の順位を読み上げていく。

 トップ3は変わる事はなくもう随分とこの順位で全員が気に留めず聞いている。

「それで…響」

 名前を呼ばれてはいと静かに返事をした響はONEでは珍しいタイプ。

 黒髪に眼鏡その奥には一重で切れ長の瞳で一見するとクールで冷たい印象。

 なのに優しい話し方とホストらしからぬ初々しい接客で容姿とのギャップで人気がある。

「煽るのは俺としては好きじゃねぇけど…陸との差は50だ」

「えっ?」

「すげぇ…」

 低いどよめきが起きた。

「響がNo.1になる日も近いんじゃないか?」

「お、俺じゃ無理ですよ。陸さんに敵うわけないですから」

 突然の誠に言葉に響は戸惑って否定した。

「そうか?」

 誠は短く返事をすると周りを見渡してから難しい顔をして静かに口を開いた。

「今の陸がうちのNo.1に相応しいと思うか?」

 誠の言葉に全員が耳を疑った。

 さらに誠は言葉を続けた。

「俺はそう思わない」

 シンと静まり返ったまま店内を見て心を決めたように誠は口を開いた。

[*前] | [次#]


コメントを書く * しおりを挟む

[戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -