『-one-』
親心 P1
CLUB ONEのオーナー誠はシャワーを浴びてバスローブを羽織るとノートパソコンをカチカチと操作して今月の売上を画面に出した。
煙草に火を点けて画面を確認しながら眉間に皺を寄せると考え事でもするように目を閉じて大きく紫煙を吐き出した。
「そろそろマズイかもしんねぇな…」
同じようにバスローブを羽織って髪をタオルで押さえながら近付いてきた美咲が誠の後ろからパソコンを覗き込む。
「ふぅん…確かにこのままじゃマズイかもね」
「さてとぉ…どうすっかなぁ」
「自覚はあるの?」
「どうだか…」
「早目に手を打った方がいいかもしれないわね。問題が起きる前にね…」
美咲の言葉にそうだなと目で語るように答えると煙草を灰皿に押し付けて美咲を抱き寄せてバスローブの紐を引いた。
「シャワー浴びたところなんだけど?」
「また浴びればいいだろ」
当たり前のように言うと鼻先でフンと笑った。
誠はバスローブの前を肌蹴させるとそのまま首筋に唇を寄せてバスローブの下の素肌に手を伸ばしたが美咲の手がそれ以上を拒んでいる。
「何だよ、もう帰んのか?」
誠はッとした様子で体を離すとシーツが乱れたままのベッドに寝転がった。
美咲はバスローブの乱れを直すとベッドの端に腰掛けた。
顔を近付けて誠の頬にキスをすると誠は眉をピクッと動かして美咲を見上げた。
「帰るんじゃねぇの?」
「同じ経営者としてアドバイス…しようと思って」
「じゃあ…話の前に」
誠は強引に美咲の体を引き寄せると唇を重ね合わせた。
美咲は組み敷かれながらクスッと笑った。
「経営者失格ね?」
「うるせぇよ。嫌なら本気で拒めって」
「最近情熱的よね?誰かさんの影響?」
「さぁな」
再び誠が唇を重ねると美咲は首に腕を回した。
[*前] | [次#]
コメントを書く * しおりを挟む
[戻る]