『-one-』

ホストクラブ P2


 着いたお店はONEよりもずっと大きくて派手だった。

 店内はキラキラと光っていて入り口にはホストの写真が並んでいた。

 中に入ると一際目を惹く大きなシャンデリアが輝いている。

「うわぁ…」

 麻衣は呆気に取られてしまい席に案内されてからも周りをキョロキョロと見渡している。

「美咲さん、久し振り」

 黒髪で長身のホストが現れた隣には茶髪で短めの髪を立たせパッチリ二重が可愛らしい感じの人。

「今日はホストクラブ初めての友達連れてきたの」

 いつかのシチュエーションと同じだ…と麻衣は心の中で思い出していた。

「初めまして夜斗です」

 黒髪の男性はイメージ通りの少し低めの落ち着いた感じの喋り方だ。

「初めまして!夕夜ですよろしく!」

 茶髪の男性というより男の子って感じ声もまだ子供っぽい。

「えっと、麻衣です」

「麻衣ちゃんかぁ、可愛い名前だね」

 夕夜がニカッと笑うと麻衣もつられて笑顔を返した。

 美咲が麻衣の為にとシャンパンを入れてくれて麻衣の念願のシャンパンコールを見せてくれた。

 周りに人が集まって大きな声で始まった掛け合いに麻衣はただただびっくりでポカンと口を開けていた。

「麻衣ちゃん、びっくりしちゃった?」

 終わってからもグラスを持ったままの麻衣を気遣うように夕夜は声を掛けて微笑んだ。

「麻衣ちゃんこういう所初めてって言ってたけどどぉ?」

 麻衣の隣に座った夕夜は気さくな感じで話し易かったせいか麻衣は気負いする事もなく話が出来た。

「テレビで見るよりすごいよねぇ」

「テレビ?麻衣ちゃんって面白いなぁ」

 麻衣は店内をぐるりと見渡しながら言うと夕夜は可笑しそうに笑いながら麻衣の頭を撫でた。

 麻衣が驚いた表情で夕夜を見るとすぐに手を離して謝ってきた。

「気悪くした?ごめん、麻衣ちゃんが可愛かったからつい」

「あ、ううん。びっくりしただけ」

 ここに来て思い出したけど私ONE以外にも行った事あったよね。

 あの見合い相手のお店…だけど途中から酔っ払ってよく覚えてないんだよね。

 それにしてもこの子悠斗くんみたいで親近感沸いてくるんだよね、明らかに年下なのにちゃん付けで呼ばれるのは慣れないけど…。

 それから時間まで色々と話をして予定通り店を出る事にした。

 店を出ると携帯をバッグから取り出して画面を見たまま美咲が動かなくなった。

「どうしたの?」

「麻衣の携帯…は?」

 美咲に言われて麻衣はバッグから携帯を取り出して開くと画面を見て目を見張った。

「えっ…着信18件?」

 慌ててボタンを押すと全て陸からだった麻衣と美咲はお互いに顔を見合わせながら声も出なかった。

「どうしよう…」

 麻衣は震える声で美咲に声を掛けた。

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