『-one-』
ホストクラブ P1
きっかけはほんのちょっとの好奇心。
「ホストクラブってどこも同じなの?」
「どうしたの突然」
ある日の麻衣と美咲の会話。
麻衣がどうしてこんな質問をしたかと言うとテレビでホストクラブ密着の番組を見たからだ。
「テレビで見たらもっとなんかキラキラーって感じで豪華でなんか変に盛り上がってたし」
「んーONEが他とちょっと違うかな?永久指名制も入れてないし派手なシャンパンコールもあんまりしない、楽しくお酒を飲む的な感じが強いかな」
麻衣が返事はしたもののピンと来ていない顔をしたので美咲は少し考えてから何かを思いついたように手を叩いた。
「百聞は一見に如かずって言うじゃない今度連れてってあげる!」
「えっ?」
「他にもいくつか知ってるからいかにもってお店に連れてってあげるから!」
確かにちょっと行って見たい気もするけど…陸怒るよねぇ。
「一回行って少し雰囲気味わって帰って来るだけなら陸くんにも内緒に出来るんじゃない?」
「そう…だね。一回だけならいいよね」
陸も仕事してる時間ならバレる事もないし雰囲気だけでも味わえればそれで満足なんだから。
一回くらいならいいかなんて軽い気持ちと強い好奇心と美咲っていう心強い友達のおかげで私はこんな重大な事を簡単に決めてしまった。
女二人の悪巧み吉と出ますか凶と出ますか。
さて作戦決行日。
やり手女社長美咲の作戦はこうだ。
まず先にONEに行って軽く遊んで(陸の機嫌を取って)から目的の店へ行く、もちろん陸が仕事をしてる確認も怠らないONEからは離れた店にする。
「美咲…それって作戦なの?」
「大丈夫だって私に任せておいてよ!」
ほ、本当に?美咲の変な自信に逆に不安になる麻衣だった。
ONEに入って0時を過ぎた頃私達は店を出た。
店の外まで陸が見送りに出てきている。
「この後来る予定があるから一緒に帰れないけど」
「ううん、じゃあね」
麻衣は陸に手を握られると罪悪感で胸が痛くなって心の中で謝った。
今日だけだからね、別に浮気しようとかじゃないからね!
美咲にタクシー来たと呼ばれる麻衣を陸は腕を掴んだまま引き止めると顔を近付けて囁く。
「お利巧にしてないとダメだよ?」
「…えっ?」
陸の言葉にドキッとして顔を見るともう麻衣の腕から手を離して笑って手を振っている。
ま、まさかバレてる?ううんそんなハズないよね。
妙な胸騒ぎを感じながら麻衣はタクシーに乗り込んだ。
「麻衣どうしたの変な顔して」
「ううん…」
何か引っ掛かる言い方だったんだよね、普段あんな事言ったりしないのにどうしてだろう。
気にしすぎだよね。
[*前] | [次#]
コメントを書く * しおりを挟む
[戻る]