『-one-』

冬篭もり P8


 陸はゴムを片付けると着ていた服を脱いでベッドの中に潜り込んだ。

 まだ横を向いたままの麻衣を抱きしめた。

 麻衣は呼吸が整って来て自分を抱きしめる陸の体が裸なのにようやく気が付いた。

「なんで脱いでるの?」

 麻衣は遠まわしにすぐには無理という意味を込めて言った。

「エッチの後のイチャイチャは裸が基本でしょ?」

 もう一回しようなんて考えてなかったと分かると麻衣は恥ずかしくなった。

「あぁ…でもイチャイチャはやっぱり顔見たいな?」

 陸の言葉に麻衣は体の向きを変えた。

 陸の方を向いて陸の背中に腕を回すと陸も麻衣の体を包むように手を回した。

「麻ー衣」

 陸は名前を呼ぶと“んっ”と唇を尖らせてキスをおねだりした。

 麻衣は応えるように唇を重ねた。

 重ね合わせただけの唇が少し開きお互いの唇を啄ばむようにしながら何度も合わせてようやく離れた。

「どうしよう、激しく動いたせいか腹減った…」

 陸は麻衣の頭に自分の頭をコツンと合わせると力なく呟いた。

「今、何時?」

 麻衣の言葉に陸は首を回して時計を見た。

 麻衣が寝室に来てから二時間近く経っていた。

「そんなに長い時間…」

「えぇっ!そんな嫌そうに言う?」

「別に嫌…ではないけど」

 陸は嬉しそうに麻衣の額に吸い付くようにキスをした。

「じゃあ、何か作ってくるね!」

 麻衣も運動したせいか空腹感を感じていたので、すぐに体を起こそうとしたが陸がそれを止めた。

「せっかく休みになったんだし、たまにはピザにして楽してよ」

 陸は麻衣をベッドに残したまま裸でリビングへと向った。


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