『-one-』

バカップル!? P4


 信号が赤になって車が停まると陸は麻衣の方を向いた。

 身を乗り出して顔を近づけながら左手で麻衣の頭を抱き寄せる。

「分からないなら教えてあげようか?」

 麻衣の反応を楽しむように甘い甘い声で囁いている。

「わ、分かるからいい」

「分かるの?じゃあ俺ってもっと頑張らないとダメ?」

 顔を近づけて麻衣の耳元で囁く。

 真っ赤な顔をしながら頬を膨らませている麻衣を見ていると思わずキスをしたくなる。

 でももう少し我慢だな…と陸は自分に言い聞かせた。

「ダメじゃない…」

 ボソッと呟くように麻衣は返事をした。

 ニヤリと笑った陸は耳元に唇をくっつきそうな程近づけると最後の一押しをする。

「そんなに顔を赤くしてエッチな想像でもしてるの?」

「なっ!だって陸がっ!!」

 反論しようと麻衣が顔を上げると陸は素早く麻衣の唇を奪い横目で信号を確認しながら舌を割り込ませる。

 信号が変わり周りの車が動き始めると陸は名残惜しそうに麻衣の唇から離れた。

「もう信じられない」

 濡れた唇を拭いながら少し怒った口調で麻衣が不貞腐れる。

 陸は内心もっとしたかったのにと舌打ちをしていた。

「嫌だった?」

「そういうんじゃなくて…こんな車の中で…」

 まぁ確かに昼間だし交通量も多いから見られてるかもだけど俺はそんなの全然平気。

 ただ麻衣のそのエッチな顔を他の奴に見られるのは嫌だな。

 陸は自然とアクセルを踏む足に力が入っている。

「昼間から麻衣がエッチな顔して俺の事誘ってるんだもん、キスしたのは半分は麻衣のせいだかんね」

「エッチな顔なんかしてません!」

「えーっ、じゃあ何であんなに顔赤くしてたの?」

 麻衣はさらに顔を赤くして俯いてしまった。

 スピードを上げた車は陸の思惑通り予定より早くマンションの駐車場に着いた。


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