『-one-』
バカップル!? P3
車まで行くと麻衣が助手席側にもたれるようにして立っていた。
睨みつけている麻衣に陸は何も言わずに笑顔を返して車に乗り込んだ。
「顔、赤いね」
車に乗り込んだふくれっ面の麻衣の鼻の頭を突きながら顔を寄せる陸は悪ガキのようだ。
「もう知らないっ!」
プイッと窓の方に顔を向けた麻衣を見てクスッと笑うとエンジンを掛けてアクセルを踏みこんだ。
「…だいたいそんな不純な動機で買うなんて…」
今の麻衣は半分怒って半分照れている。
もちろん陸はそんな事もお見通しで予想通りの反応の麻衣が可愛くて仕方がない。
「不純?何か勘違いしてるでしょー、俺は麻衣を抱っこして乗ったらいい運動になるかもって言っただけだよ?」
「だ、だってそれって!」
「それって?どんな事を想像しちゃってるの?」
陸がチラッと横目で見ると麻衣はむぅーとさっきよりも頬を膨らましている。
「大丈夫だよー」
「何がっ!」
すっかりご機嫌斜めになってしまった麻衣に構う事なく陸はさらにまだ何かを言おうとしている。
「まだまだ俺は機械に頼らなくても平気、ねっ?」
その言葉に麻衣はカァッと顔を赤くするのを見て陸は思わずプッと吹き出した。
麻衣は陸の足を軽く叩いた。
「全然分かんないっ!」
分かってるくせに…と言いたい気持ちを抑えて陸は運転に集中しているフリをした。
「分からない?あ…もしかして俺はまだまだなのかなぁ」
前を向いたまま陸はため息をつく。
「ま、まだまだってどういう意味?」
「だからー、もっと頑張らないとダメなのかなぁって」
陸の核心を突くような言葉に麻衣は短い声を上げた。
陸はニンマリしながら左手を伸ばして麻衣の髪の間に手を入れて感触を楽しんでいる。
「が、頑張るって…」
「あれぇ?まだ分からない?」
頭の中に陸の姿を思い出したのか顔を赤くして俯いている。
今の陸は好きな子をいじめるガキ大将そのものだった。
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