『-one-』
バカップル!? P2
「ほら、麻衣も試しにやってみたら?」
陸は半ば強引に麻衣を座らせるとまるで店員みたいに説明しながら勝手にスタートボタンを押した。
「きゃっ!」
急に動き出してバランスを取りながら慌てて持ち手を掴んだ。
初めはゆっくりとした動きも徐々に激しくうねり始める。
「やっ…すごっ…結構激しいっ」
動きに慣れて揺れている機器の上で姿勢を保とうとしている麻衣の姿を陸はジロジロと眺めた。
「ねっ…陸ー、もう止めて」
麻衣が降りるのに手を貸すとそのまま麻衣の腰を抱き寄せてニヤニヤしている。
「ね、買おうよ」
「いりません」
麻衣は陸の持っていたパンフレットを取り上げて短く言った。
陸は本当にがっかりした様子でうな垂れている。
「そんなに欲しいの?陸はこういうの興味ないと思ってたけど」
「使うのは麻衣、俺は見てるだけ」
意味の分からない麻衣に対して陸はさらに何かを思いつたかのようにさらに目を輝かせた。
「見てるだけじゃ意味ないでしょ」
「そうだね…うんやっぱり使わないと意味がない!」
麻衣の言葉に妙に納得した様子で答えを返してくる。
陸はさっきよりも目がキラキラと…いやギラギラと輝いている。
「陸ー?何か変な事考えてるでしょ?」
陸はニィッと笑うと麻衣を手招きすると自分の考え出した最高のフィットネス方法を麻衣に打ち明けた。
「はぁっ!?信じられないっ!」
麻衣は店内だという事も忘れて大きな声を出しスタスタとその場から足早に立ち去る。
「麻衣ー!待ってって」
どうせ俺が行かないと車に乗れないくせに…。
ほんとおバカさんで可愛いなぁ。
陸は麻衣の後ろ姿をニコニコ眺めながら後を追い掛けた。
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