『-one-』
バカップル!? P1
週末に時間が出来た陸と麻衣は近くの大型家電店に立ち寄った。
「何か欲しい物でもあるの?」
麻衣はキッチン家電を見ながら目的のなさそうな陸の横に並んで店内を見て回っている。
「これって今流行ってるやつ?」
陸が立ち止まった視線の先には今流行の乗馬タイプのフィットネス機器。
「うんうん、乗馬出来るやつね!お腹周りとか細くなるんだって」
体験出来るコーナーの乗馬の機器を見ると陸は楽しそうに跨った。
スイッチを入れると大きく陸の体が動きに合わせて揺れ始めた。
「おぉっ、麻衣これすごいよ!」
まるで子供のようにはしゃぐ様子に恥ずかしくなり思わずため息が出る。
「確かに…お腹周り気になるし、買おうかなぁ…」
麻衣は自分のウエストの辺りを手でさすりながら価格を見た。
うわっ…これってこんなにするんだ?
思ったより高い金額に麻衣は腕を組んで考え込んだ。
「麻衣にこんなの必要ないよ」
一通り楽しんだ様子の陸は降りると麻衣の腰に手を回した。
麻衣の耳元に顔を近づける。
「それ以上細くなったら抱き心地が悪くなるからだめ」
耳元で囁かれた言葉に麻衣は信じられないというような顔をして慌てて周りに人がいないか確認をしている。
そんな麻衣を見て陸は楽しそうに肩を揺らしながら笑っている。
「あっ!でもこれいいかも…」
ボソッと言う陸の顔は何やら楽しい事を考えているような…いや悪巧みをしているような目をして麻衣の顔を見ている。
その顔を見て思わず回れ右がしたくなる麻衣。
「運動不足だし、これ買おうかな」
陸はわざとらしく真剣な表情をしながらパンフレットを手に取ってパラパラとめくっている。
「こんな締まった体してるのに必要ないでしょ?」
服の上からでも分かる程陸の体には全く無駄な部分がない。
痩せているというわけでもないけれど筋肉質というわけでもない。
「麻衣も運動したいって言ったでしょ?」
「うん…まぁそうだけどね」
いや…絶対に何か変な事考えてる顔してる。
こういう顔している時の陸はたいてい悪戯心がムクムクと出てきている証拠だった。
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