『-one-』

Happy New Year P6


 年が明けて初めて二人でする食事は何の感慨もなく数分で終了した。

 すぐに品評会が再開。

「ねぇ!このコート可愛いよね?」

 今度はどうやら気に入った物が多く入っているらしく袋から出しては嬉しそうに自分に合わせている。

「麻衣ーそんなに服欲しいなら俺買おうか?」

 ソファの上まで侵食されてだんだんと居場所がなくなりつつある陸はボソッと呟いた。

「福袋買うのが楽しいの!」

 あっさりと断られてしまった。

 麻衣はすごく楽しそうだけれどはっきり言って陸としては全く楽しくなかった。

 もっと違う二人きりの正月の過ごし方だってあるはずなのに。

「麻ー衣」

 我慢できずに陸はソファの上から呼びかけた。

「んー?」
 
 気のない返事が返って来る。

「こっちおいで」

 ソファの上の荷物を端に寄せてポンポンとソファを叩いた。

「んーちょっと待ってー」

 一応返事が返って来た。

 それでも顔を上げる様子もなく次はどの袋を開けようと物色している最中だ。

 一応麻衣の言葉を信じて待っている陸だが一向に自分の方へと来ない事に苛立ち始めた。

「麻衣ー」

 やはり我慢できずにもう一度麻衣に声を掛ける。

「んー。待ってー」

 もう随分待ってるんだけど。

「後にしたら?」

「んーじゃあ後五分」

 五分ねぇ…仕方なく待つ事にした。

 イライラ…

 考えてみれば何で俺のが後回しなわけ?

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