『-one-』
Happy New Year P5
部屋に着いてホッと一息そう思っていたのは陸だけだった。
麻衣にとってはこれからが本番といったところらしく持ち帰った戦利品の品評会が始まった。
その全てに対して陸はコメントを言わなければいけないらしい…。
ソファに座らされて一つ袋を開けてはこれはアタリだのハズレだの言いたい放題。
「ねぇ…麻衣ー」
足元まで戦利品で埋め尽くされて陸は仕方がなくソファの上で胡坐をかいて夢中になっている麻衣に声を掛けた。
「腹減ったんだけどー」
朝から何も食べていないのにもう昼を過ぎている。
「あーどっかにお弁当あるはずー」
「どっかって?」
「その辺の袋のどれか」
その辺と指差されたのはデパートの紙袋の山が出来ている辺りだ。
指を差しただけで動こうとしない麻衣を見て諦めた陸は自分でその山を探って食料を見つけ出した。
「私も食べるね。お茶入れてくるー」
一人で食べるのかと思ってた陸は内心ホッとながら弁当を持ってダイニングテーブルに座った。
「はい。美味しそうだね!」
熱いお茶の入った湯のみを置いてくれた。
ちまちまとおかずが彩りよく詰められた中身を見て麻衣は嬉しそうな声を上げた。
「ねぇ、朝から出掛けてたの?」
「うん。8時過ぎくらいに出たかなぁ」
「はぁ?何でそんなに早く行くの」
「だって並ばなきゃいけないでしょ?」
そんな事はどうって事ないけどと言わんばかりの勢いだ。
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