『-one-』

Happy New Year P3


 体を起こして部屋を見渡した。

「あれ…麻衣?」

 いるであろうはずの名前を呼んでも返事がない。

 というよりさっきと変わらず自分以外の人の気配がしない。

 胸騒ぎがして慌てて携帯を取りに行くとすぐに麻衣に電話を掛けた。

 数回の呼び出し音の後留守電に切り替わった。

 もう一度掛け直してみてもメッセージが流れるだけだった。

「どこ行った?」

 まさか俺が昨日帰って来なかったから怒って出てった?

 と、にかく着替えて…。

 陸はオロオロしながらベッドに携帯を放り投げると慌てて着替え始めた。

 ピロッピロピロッ…。

 聞きなれた着信音に夢中で携帯に飛びついた。

「もしもしっ?」

「陸ー?起きたんだねー」

 電話の向こうからは能天気な声が聞こえてきた。

「麻衣?今どこに…」

「あのね駅まで迎えに来てくれないかなーよろしくぅ!」

 プツッ、ツーツーツー。

 おいおいおい…何だ?一体何なんだよ。

 初めての電話の時の事を思い出させるような用件だけを一方的に言われてしまった。

 意味が分からなかったけれどとにかく今は麻衣の所へ向わないと…。

 着替えを済ませると鍵を掴んで慌てて部屋を飛び出した。

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