『-one-』

田口家へようこそ! P8


 次に降りたのはダーツバーだった。

「こんな街でもダーツバーぐらいあるぞ?」

 驚いている俺の顔を見て笑った。

 いや、そのびっくりじゃないんですけど…

「少し遊んでろ」

 そう言うとお義父さんは用があるからと奥に入って行った。

 ブブブ…ブブブ…

 携帯を取って慌てて出る。

「陸?今どこー?」

 電話の向こうで心配そうな声がした。

「今はダーツバーにいるんだけど…」

「そっかぁ…」

 驚きもしない麻衣の反応に驚いた。

「どういう事?」

 一体俺は何でこんな所に連れて来られたのか分からない。

「そのうち分かるよ。リラックスしてね?」

 電話越しのキスをした麻衣は「いつも通りの陸でいいんだよ」と言って電話を切った。

 いつも通りか…

 30分後…

 麻衣の言葉を信じて客に交じって遊ぶ俺。

 麻衣と前に一度来た時は楽しかったなぁ。

 何回やっても当たらなくて拗ねて帰ったんだっけ。

 麻衣の事を思い出すと顔が緩んで気持ちも楽になっていくのを感じながらカウンターに座って酒を頼むとすぐに隣に女の子が座った。

「一人なのに楽しそうね?」

 チラッとだけ見てからすぐに視線を戻した。

(麻衣の方が可愛いな)

「ねぇ…私も一人なんだけどなぁ?」

 誘って欲しいのがバレバレだって。

「悪いね。俺は一人じゃないんだ」

 立ち上がると店の奥からちょうどお義父さんが出て来た所だった。

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