『-one-』

田口家へようこそ! P5


 夕食までの時間少し二人で近所を散歩する事にした。

「ごめんね、緊張してたね」

 手を繋ぎながら近くの公園を歩いた。

 外に連れ出してくれた麻衣の気遣いが嬉しい。

「少しね…」

「びっくりしたでしょ、うちの両親」

 思い出してまた笑ってしまった。

 あのまま止めてなかったらキスしそうな勢いだったな。

「すっごい仲がいいんだな?」

「昔は恥ずかしかっただけど、今は見てて羨ましいかな?」

 確かになんかいいよなぁ。

「子供が大きくなってもお互い名前で呼び合ってヤキモチ妬いたりして。すごく愛されてるよね」

 話してる麻衣の横顔が可愛くて愛しくて人目もあるのに力いっぱい抱きしめてしまった。

「り、陸?」

 あんなに愛し合ってる両親から生まれた麻衣と出会えたから俺はこんなに麻衣を愛してるのかもしれない。

「俺達もそうなれるよ。ずっと俺だけを見ててね。俺もずっと麻衣だけを見てるから。」

「うん、私も陸だけを見てるよ」

 二人で微笑み合うとどちらからともなくキスをした。


「…舌は入れないの?」

(はっ!?)

 突然した声に慌てて麻衣の体を離した。

 お義父さんが二人の横に立ってニコニコ笑って見ていた。

「お、お、お父義父さん!?」

「な、何してるのよっ!」

 麻衣は真っ赤な顔をして怒っている。

「美紀がご飯にするから呼んでって」

「だったら普通は携帯に電話するでしょ」

 そうか、その手があったのかぁとわざとらしく言うと俺の側に来て囁いた。

「残念だったなぁ?」

 はぁーーっ…これって減点?

 …まだ肝心の話を切り出してもいないのに。


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