『-one-』

田口家へようこそ! P2


「ま、麻衣…ちょっと!」

 歩きかけた麻衣を引っ張った。

「さっきの甘い顔って何?」

「お母ちゃんねイケメン好きなの」

「目で殺すようなタイプってのは?」

 その言葉にジーッと俺の顔を見た。

「仕事の顔して私の名前呼んで?」

「…麻衣?」

「そうっ!その目にやられちゃう」

 な、何だそりゃ…こいつも緊張感ゼロだし。

「ほんとに緊張しないで。二人とも陸の事悪く思わないから」

 そんな事言われもなぁ…本当にり緊張するんだぞ。

「来た事後悔してるの?」

 え?

 悲しそうな目をした麻衣を見て焦ってしまった。

「違う、絶対そんな事思ってないよ。ただ俺の事認めて貰いたいから、本当に一緒にいたいけど駆け落ちとかは嫌なんだ。」

 必死に自分の気持ちを訴えた。

 認めて貰えるまで何度も来るぐらいの覚悟は十分あるつもりだし。

「チュウする?」

 ペチン!

「痛いなぁ〜」

 麻衣は額をさすりながら俺を睨んだ。

「からかうなって!」

「だって、嬉しかったんだもん」

 少し赤い顔した麻衣は俺の頬にキスをした。

「頼もしい旦那様になるね?」

 笑って中に入っていく麻衣の後姿を見送りながら最後の言葉がこだまする。

 旦那様…

 何だこのなんか甘い響き…すげぇいいかも…。

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