『-one-』

どーも中塚です P3


 でもさすがに朝早すぎるのには正直まいった。

 まだ7時半でほとんと寝ていない。

 大きなアクビをしていると麻衣が少しよそ行きの声を出した。

「携帯を受取りに行きたいんですけど…今日はお時間ありますか?」

(ヨッシ!)

 眠気が飛んで拳をグッと握り締めた。

「えぇ。大丈夫ですよ」

「良かったぁ。本当に携帯がないと不便で…」

「そうですよね。分かりますよ」

 当たり障りなく返事を返す。

 平静を装っているもののは胸はかなり昂っている。

「どこかで待ち合わせしたいんですけど…あの…どちらの方かも分からないので…」

「どこでもいいですよ。僕がそちらまで伺います」

「ありがとうございます!じゃあK駅の南口の時計の前に10時でいいですか?」

 麻衣のホッとした声がした。

(10時に時計の前…)

 まるで高校生のデートのような待ち合わせに思わず頬が緩む。

 美咲と同い年でかなり年上なのは分かっているがその発想も見た目もとても年上とは思えない。

(やっぱ可愛いなぁ…)

「あのぉ…K駅知りませんでした?」

「いえ…大丈夫です。では10時に」

 ぼんやりと考え事をしていると麻衣の声に呼び戻された。

(俺だって分からないんだなぁ…)

 話し方は変えているものの声は変えていない。

 だが昨夜あんなに怒らせてしまっているだけに陸には好都合だった。

「はい。よろしくお願いします。お手数おかけします」

「いいえ。困ったときはお互いさまですよ。それでは」

 電話を切ろうとボタンに指を掛ける。

「あのっ!!」

 慌てた声で呼び止められた。

(もしかしてバレたか!?)

「何か?」

「あ、あの。お名前聞かせて頂いてもいいですか?待ち合わせの時に…」

 麻衣の言葉に納得して答える前に少し考えた。

「中塚です」

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