『-one-』

サンタが僕等の店にやってくる P5


 バタンッ−

 サンタと陸が店の一番奥に入るとちょうど照明が点いて軽快なクリスマスソングが流れ始めた。

 二人が入った真っ暗な部屋には小さなクリスマスツリーがライトを点滅させている。

 ドアを閉めると店の喧騒が遠くなってまるで別世界のように静かに二人を包んでいる。

 部屋に入った陸は後ろ手に鍵を閉める。

 陸は籠を受取って床に置くと後ろ姿の麻衣を抱きしめた。

 何でだろう…いつも抱きしめているのに…こんなにも体が熱い。

 それはアルコールのせいだけじゃない。

「麻衣…」

 声が掠れてしまう。

 名前を呼ばれると麻衣は顔の髭を取って口を開いた。

「陸…ごめんね。私知らなくて…」

「怒ってないから…」

 白い素肌の上に来た真っ赤な衣装。

 肩も腕も剥きだしでスカートで隠れている足は膝より5センチ上でほとんどが外に晒されている。

 色んな感情が入り混じる。

 クリスマスは一緒に過ごせないと思っていた。

 でもこんな可愛い麻衣を見る事が出来て最高に嬉しい。

 だけど他の男にこんな可愛い麻衣を見られて嫉妬で狂いそうだ。

 陸は麻衣の肩から腕へと撫でるように触った。

「麻衣…」

 もう一度名前を囁いて髪の間から見えるうなじにキスをしてと体の向きを変えさせた。

「ね…する?」

「な、なにを…」

 分かってるくせにと麻衣の顎に指を添えた。

「だ、だめだって!」

「なんで?」

 抵抗する麻衣に構う事なく陸は麻衣の頬や首筋にキスの雨を降らせる。

「だってここお店でしょ!」

「大丈夫、鍵掛けたし」

「鍵って…そういう問題じゃ…んっ」

 必死に抗議する麻衣の唇を強引に奪うと舌を挿し入れて絡めた。

「ぷはっ…陸っ!仕事中でしょ、ダメだってっば」

 麻衣は陸の体を突き飛ばした。

「誠さんのOK貰ったじゃん?」

「だ、だからってこんな事するのは…い、いけないと思う」

「誠さんだって分かってるさ。ほら時間なくなっちゃうだろ?おいで」

 陸はソファに座ると自分の膝をポンポンと叩いた。

 麻衣は陸をチラッと見た、微笑みながら手を広げて待っている。

 足を一歩踏み出したけれどそこから動かない。

「あーやっぱりだめっ!ここじゃだめっ!」

 麻衣は激しく頭を横に振った。

 その様子を見て陸は小さくため息を吐いた。

「分かったよ。でも離れてたら寂しいだろ?抱っこしたいからおいで?」

 訝しげに陸の顔を見ながらゆっくりと陸の前に立った。

「何もしない?」

「麻ー衣?」

 陸にジッと見つめられて麻衣は大人しく膝の上に座った。

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