『-one-』

サンタが僕等の店にやってくる P2


 何だか最近恒例になってきたこの光景…。

 ホストクラブの入り口で押し問答をする二人の姿が今日もありました。

「美咲っ!これはマズイって…」

「なぁに言ってんの!今日だから許されるんでしょ?」

「こんなの無理だって!」

「大丈夫!麻衣は童顔だから」

 そういう問題じゃない!と顔を真っ赤にして怒る麻衣を美咲は無理矢理店の中へと引きずり込んだ。

「メリークリスマス!」

 赤いサンタの帽子を被った子に出迎えられた。

「コートお預かりしますね」

 差し出された手に躊躇する麻衣を見て美咲は無理矢理コートを脱がそうとする。

「やっぱり無理!絶対無理!帰るっ!」

「ど、どうしたんですか…?」

 オロオロするのを見て美咲は早く脱いでと目で合図する。

 しばらく渋っていた麻衣が渋々脱ぐとコートを受取った男の子が赤面した。

 は、恥ずかしい…。

 麻衣もつられて赤面した。

「美咲さん、麻衣さん、お待ちしてましたよ」

 にこやかな笑顔でタキシードを着た誠は奥から出て来ると麻衣の姿を目にして少し観察するとクスッと笑った。

「おやおや…これはまた…」

「どぉ?なかなかでしょ?」

「ここまでとは…」

 もう一度麻衣の姿を眺めてクスクス笑う。

「二人ともっ!」

 当然二人がグルだろうという意味も込めて誠と美咲を睨みつけた。

「まぁまぁ…ちょっとこちらへお願い出来ますか?」

 フロアとは反対のスタッフしか入れない所へと連れて行かれる。

「麻衣さんもうちの身内みたいなものですよね」

 陸にプロポーズされた事を知っている誠がニヤリと笑う。

「今日は少し手伝ってもらいますね」

「な、何を…?」

 何となく嫌な予感がして少しずつ後ずさりすると後ろに美咲が立ちはだかった。

「はい、コレを持って付いて来て下さい」

 渡されたのは籐で出来た大きな籠でその中には赤いリボンのついた小さな袋がたくさん入っている。

「何ですか?」

「私からのクリスマスプレゼントですよ」

 一瞬、間があった。

「え?私に?」

「ププッ…ばかっ」

 真顔で答えた麻衣に美咲が吹き出した。

 誠は麻衣の顔を見てフフンと鼻で笑った。

「私からお客様へのプレゼントです。」

 あーなるほどね。

 それと私のサンタの衣装と何の関係が?

 勘の悪い私に呆れたのか誠さんが説明をしてくれた。

「私が赤い服着て白い髭を付けるのはいささかイメージが…」

「えっ?って…えぇっ!私がやるんですかっ!?」

 美咲と誠がウンウンと頷いている。

「いーじゃないの!はい、帽子とフワフワの真っ白なお髭ねー」

 赤い三角の帽子を被らせて白い髭を付けられた。

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