『-one-』
カリスマホスト!? P5
隣に座った陸さんの右手は麻衣さんの手を優しく握っている。
しかも普段はあまり見せない笑顔付きで…。
「今日ね!会社の飲み会だったのー!」
「うん。だから今日はもうお酒は止めておこうね」
びっくりだ。
さっきまでのわがままっぷりがピタッと止まった。
「麻衣もお寿司食べる?玉子とサラダ巻きあるよ」
「食べるー!お腹空いちゃったぁ」
陸さんは別の袋から寿司を取り出してテーブルに並べた。
割り箸を割ってそれを握らせてあげている。
あの…なんて言うかすげぇ優しいというか甘いというか…。
こんな陸さん見た事ないんですけど。
「…ゴホッ!ゴホゴホッ…」
麻衣さんがむせるとすかさず横からお茶を持たせて背中をさすってる。
「大丈夫?誰も取らないからゆっくり食べるんだよ」
悠斗さんは寿司をつまみながら二人を楽しそうに眺めている。
俺の事に気付いた悠斗さんが寿司を指差した。
「和哉お前も食えよー。陸さんの奢りだぞ!」
言われるままに手を伸ばして寿司を口に放り込む。
なんか釈然としない。
悠斗さんはニコニコとあの二人を見て時々陸さんと言葉を交わしている。
あの二人は俺達がいるのもお構いなしで二人の世界を作り上げていた。
そう…それはまるで…。
「あ、あの…悠斗さん」
ふと浮かんだ疑問を陸さんには聞けずまずは悠斗さんにぶつけてみる事にした。
「麻衣さんって、あの…」
そう問いかけると悠斗さんは楽しそうに話している二人に視線を向けた。
「俺の客じゃないからなぁ…陸さんに聞けば?」
あっさり返されてしまった。
いや…本人に聞きにくいから悠斗さんに聞いたんすけど。
そんな本人の前で聞けるかよ。
麻衣さんは陸さんの彼女ですか?なんて…。
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