『-one-』

カリスマホスト!? P3


 そろそろ来る頃だろうか。

 ほとんどのホストは帰ってしまって残ったのは悠斗さんとオーナーと俺。

 そしてまだ外から戻って来ていない陸さん。

 店を閉めるのに受け入れるって事はよほどの上客なんだろうな。

 すげぇゴージャスな社長とかモデルとかもしかしたらアイドルとか?

「こんばんは」

 ドアが開くと悠斗さんはすぐに入り口に歩いて行き出迎えた。

 俺も後に続いて出迎えたが少し驚いた。

 見た目がすごく普通…いや普通ってのは何て言うか本当に普通の人で…。

 ただ顔は可愛いし俺好みだけど…

 ジロジロ見すぎていたのか向こうが俺の視線に気付いて会釈して来た。

「麻衣さん、こいつは新人の和哉。宜しくお願いしますね」

「はーい!和哉くんよろしくねー!」

 うわぁっ…テンション高っ!!

「ねぇねぇ悠斗くん、今日はねー会社の飲み会があってねぇ…」

 麻衣さんは悠斗さんの腕に手を絡めて慣れたように中に入って行くのを俺は後ろからついて行った。

 座ってからはいつ息継ぎしてるのか思うほどのマンシンガントーク。
 悠斗さんは笑って相槌を打つだけで精一杯。

 俺はというと初めてのタイプの客にタジタジしかも陸さんの客なだけに下手な事出来ない。

「悠斗くんっ!お・さ・け・のもっ?」

 うぁぁ…めっちゃ可愛い…。

「ダメですよ。陸さんから出さないように言われてます」

 上目遣いで迫られている悠斗さんに同情したくなった。

 あんな風に迫られたら俺なら簡単に酒でも何でも用意してしまうな。

「ちょこっとだーけ。麻衣と悠斗くんの秘密にしとこ?」

「ダメったらダメです」

 何とか撥ね付けて悠斗さんは席を立とうとするが麻衣さんは服の裾を引っ張ってそれを阻止しようとするん。

 この人って一体何者…。

 こんな店に来てるのに酒を出さないってのも変な話。

 そうして陸さんは出すなとか言ったんだろう。

「じゃぁ…陸さんが来てから一緒に飲みましょう」

「ほんと?」

 諦めた悠斗さんはまた隣に座り直すとあの手この手で麻衣さんをなだめている。

「悠斗さん…大丈夫っすか?」

「気にすんな。俺は慣れてるから」

 独り言をブツブツ言っている麻衣さんを適当にあしらいながら俺の方を見て笑った。

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