『-one-』

カリスマホスト!? P2


 入店から一ヶ月。

 いつも陸さんと悠斗さんの側に付いていて気付いた事がある。

 陸さんは客によって接客の態度も服もアクセサリーを使い分けていた。

 そして何より絶対に携帯を手離さずに時間が空くと携帯を取り出してはメールを打ったりしている。

「陸さんっていつも携帯いじってますよね?」

 平日はほとんど客も居ない店内で陸さんが席を立った隙にヘルプの悠斗さんに声を掛けた。

「あぁ…意外とマメだからなぁ」

「やっぱマメじゃないと陸さんみたいになれないって事っすか!」

 すげぇ…あんなに客がついているのに努力とかしてんだぁ!

 ますます尊敬!

「いやぁ…まぁ、うん。あのマメさはある意味真似した方がいいのかもしれないな」

 悠斗さんは一人でブツブツ言いながら頷いている。

「今日はもう閉めるってよ」

 暫くして戻って来た陸さんが全員に声を掛けた。

 皆が思い思いにこの後の予定について話をしている。

「悠斗。俺少し出て来るけどあと30分くらいで来るから頼むな」

「うぃっす」

「あ…飲み会の帰りらしいから」

「マジっすか…早く戻ってきて下さいね」

 二人は互いに顔を見合わせて意味深に笑うと陸さんは店の外に出て行った。

「あ…今から客が来るんすか?」

「おぅ…でもお前は帰ってもいいよ。俺と陸さんいるし、それに…」

 少し困った顔をして口をつぐんでしまった。

 何だろう特別な客なのか?

「でも…俺…」

 陸さんの客なら俺も一緒につきたい。

 少しでも長く一緒に居て陸さんのテクとか仕草とか覚えたいし。

 ジッと悠斗さんの顔を見ていたら諦めたように店に残る事を許してくれた。


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