『-one-』

未来への約束 P7


 静かに語りかけるその声は私の心にスーッと流れ込んで来る。

 あんなに最初は嫌だったのにこんなに好きになった。

「まだホストやってるしすぐには無理かもしれないけど…ずっと麻衣には隣にいて欲しいんだ」

「生まれ変わっても麻衣だけを愛してる。」

 こんな恥ずかしいセリフ陸しか言えないでしょ。

 それなのに本人は全然平気な顔で私を見つめている。

 恥ずかしくて顔が赤くなる。

 私も何か言わなくちゃ…

「あ…私も…」

 返事をしようとすると陸は指で私の唇を押さえた。

「返事はいらないよ。」

 え?

 だって…。

「俺以外の男に惚れるわけないだろ?」

 やられた…。

 いっつもこうやって私を酔わせてばかり。

「陸はずるいよ…」

 胸に頬を寄せて呟いた。

 大きな手が優しく髪を撫でてくれる。

「どうして?」

 いつもより甘い声が心地よく耳に残る。

「私を落とすセリフばっかり言うもん」

「真っ直ぐ俺の所に落ちて来ればいいよ。でもね…」

 クスクスと笑って頬に手を添えた。

「それを言うなら麻衣だってずるい」

「どうして?」

 額に唇を寄せて言った。

「声を聞くだけで胸がドキドキする」

「触れるだけで体が熱くなる」

「側にいるだけで離れられなくなる」

 り、陸…。

 この人は本当に私をどこまで落とすつもり?

「俺はね…最初から麻衣に落ちてるんだよ」

 もう何も言えなくて背伸びをしてキスをした。

 砂浜に落ちた二つの影は一つになった。

 それはこれから二人が生きていく道を指し示すように真っ直ぐ伸びていた。


end

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