『-one-』

未来への約束 P6


「寒くない?」

 砂浜に立って二人で海を眺めている。

「ちょっと、寒いかも…」

 そう言うと陸は後ろから抱きしめてコートの中に入れてくれた。

「あったかい?」

 大きく頷いた。

「手も冷たい」

 陸はジャケットのポケットに一緒に入れてくれた。

「陸ありがとね、すっごい幸せ」

 昨夜は店で誕生日の今日も二人きりでこんな風にお祝いしてくれた。

 すっごく大事にしてくれてすっごく愛されている。

「こんなんでいいの?」

「もう十分だよ!」

 誕生日に一緒にいてくれるなんて最高に幸せじゃない。

 でも叶うなら来年もこうやってお祝いしてくれたらもっと嬉しい。

「もっと幸せになりたくない?」

「これ以上?もー贅沢だよっ!」

「俺はもっと麻衣を幸せにできる」

 いつものおどけた感じがなくて振り返った。

 チュッ、チュッ…

 上から顔屈めて唇を重ね合わせた。

 何度もお互いの唇の感触を楽しんでからどちらからともなく舌を絡ませた。

 んっ!?

 びっくりして顔を離した

「陸?今の…何?」

 陸は照れながらもう一度唇に軽くキスした。

「見てみたら?」

 左手にひんやりとした感触がある。

 キスをしている最中に違和感を感じた手をポケットから出した。

「え…これって」

 慌てて陸に向き直ると陸は腰に手を回して抱き寄せいつもよりも真剣な顔をした。

 今までにない真剣な瞳で私を真っ直ぐ見つめた。

「俺はもっともっと麻衣と幸せになりたい」

 初めて陸を見た時にキレイだと思った瞳に自分の姿が映る。

 色んな表情を見せる陸の瞳。

 でもこうやって私だけを映してくれる時が一番好き。

 真剣な表情が少し和らぐと陸の唇がゆっくりと動いた。

「結婚しようね」

 その言葉にもう一度手に視線を落とす。

 ハートの形をした石。

 それは左手の薬指でキラキラと輝いている。


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