『-one-』

お見合い!? P6


 その日の夜ホテルの部屋ではなく陸のマンション。

 テーブルの上には途中で買った来た寿司。

 麻衣は困った顔をしながら玉子を口に入れて俺を見た。

 俺は床に座って麻衣の淹れたお茶を飲みながら膨れている。

 あの時の二人の会話を要約するとこうだ。

 奴は嫌々来た見合いだったが麻衣を一目で気に入った。

 頑なに断る麻衣に条件を呑めば諦めるけど出来ないならこの見合い話を強引に進めると…。

「どうして条件がソレなの?」

「ほら名刺…」

「なんでこんな奴が見合いなんかするんだよ」

「見合いしないと親子の縁を切るって言われたって」

 そんな馬鹿げた話があんのかよ。

 どこのボンボンだよ。

「今度は俺ついていけねーじゃん」

「りーくぅー、どうしよう?」

「あーもぅ!すぐにヤキモチ妬かせて麻衣の意地悪!」

「もぅ!私だって困ってるんだよ!」

 ため息を吐いてもう一度名刺を見た。

『CLUB honey  優』

 ホストが見合いなんて聞いた事ない。

 奴の条件は麻衣が一人で店に来て自分を指名する事らしいけどどうしてそんな事をするのかも分からない。

「行かなきゃ断れないなら、行くしかないじゃん」

 何で他のホストとこなんか行かせないといけないんだよ…しかも一人でって。

 美咲さんが一緒なら安心なのに。

「でも絶対に酒飲むな!分かった?」

「分かった…」

「相手の言葉鵜呑みにして舞い上がるなよ?向こうは仕事なんだからな!」

 麻衣がジロッと陸を見た。

(な、なんだよその冷たい視線)

「そんな事は私が一番理解してますけど?」

「あ…そ、それもそうだっけ」

 顔では笑ってたけど腹の中は嫉妬でおかしくなりそうだよ。

 でもちゃんと信じてるからな…。

(たぶん…)

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