『-one-』

お見合い!? P3


「何でこんな時だけ格好つけてんの!?」

 涙がいっぱい出て止まらない。

「嘘つき!私を離さないって言っておいて」

 いっつも私を振り回して…

「こんなに好きにさせといて今更そんな事言わないでよっ!」

 私を夢中にさせといて…

「それに、それに…陸を幸せに出来るの私しかいないんだからぁ〜」

 涙も鼻水もいっぱい出しながら声を上げて泣いた。

 まるで子供のように声を出して泣いた。

「ま、麻衣…」

「私の事幸せに出来るのは陸だけなのにぃ!ばかぁ!」

さっきよりも激しく号泣すると陸が泣きながら笑った。

「麻衣…ちょっとブサイクちゃん…」

「び…びどぃ…」

 ズズズ…と鼻を啜りながら陸を睨んだ。

「はい、鼻かんで」

 ティッシュを渡されて大きな音を立てて鼻をかんだら陸が笑った。

「俺、アホだわ。そんな麻衣見ても可愛いとか思う」

 目も鼻も真っ赤にしながら私も笑った。

「すごく大好きなのに傷つけてごめんね。痛かったよね?」

 心配そうに顔を覗きこんだ。

「触ってもいい?」

 震える声で聞く陸に黙って頷いた。

 陸は恐る恐る髪に手を伸ばすとそっと触れた。

 壊れ物を触るような仕草で髪を撫でてくれている。

「ひどい事してごめん…許してくれ…る?」

「陸がいなくなる方がもっと辛い」

「ずっとこうしてていい?」

 抱きしめると肩に顔を乗せた。

「俺、すっげー嫉妬深いよ?」

「うん」

「それにすっげーわがままだし」

「うん…うん…」

「麻衣に一生つきまとうよ?」

 何度も何度も頷いた。

 私は陸の体に腕をまわして抱きしめると「それでも好き」と呟いた。

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