『-one-』
お兄ちゃんとご対面 P4
陸ってばどこでも構わず抱きしめたりキスしたりしてすっごく恥ずかしいのに全然お構いなしなんだよね。
「ほんとにあれでホストなの?」
思い出してクスクス笑いながら部屋の前に着くと人がドアの前に座り込んでいた。
やだ…酔っ払い?
恐る恐る近付いて行くと見覚えのある指輪が見えた。
「お兄ちゃん?」
声を掛けるとその人は顔を上げて私を見ると嬉しそうな顔をして抱き着いた。
「oh!麻衣ちゃぁん」
やっぱりお兄ちゃんだ。
高校卒業してアメリカに行ってこうやってたまぁに帰って来ては私達を驚かせるんだから。
感動の再会も程々にお兄ちゃんを部屋に入れた。
「帰ってきてから何してたの?」
「んー?金ないし働いてた」
あれ…珍しいな。
そんな真面目な事するはずないのに。
「どこで?」
「飲み屋だよ」
まぁいっか。
元気にしてるみたいだしこんなお兄ちゃんでもやっぱり会えると嬉しいし。
「麻衣元気だったか?母さんの話じゃ彼氏出来たって?」
「あ…うん」
やっぱり話聞いてたんだ。
「どんな奴?ってホストなんだって?」
「お兄ちゃん?分かってるとは思うけど…」
興味津々に質問をぶつけてくるお兄ちゃんの顔を睨みつけた。
「分かってるって、邪魔しないよ?」
「お願いね?」
そう言って立ち上がった私の後ろ姿にお兄ちゃんがニヤリと笑った事など全然気付きもしなかった。
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