『-one-』

お兄ちゃんとご対面 P3


「今日から新人が入る」

 昨夜誠さんが面接したとか言ってたっけ。

「樹です」

「年はいってるけど経験も実績もある。よろしく頼む」
 
 30歳ねぇ…年の割には若く見えるし結構イケメン…。

「陸、しばらくはおまえと一緒につくからな」

「うぃっす」

「よろしく。No.1と一緒なんて光栄だよ」

 手を出されて握手をした。

「よろしく」

 ………。

 俺の手を握ったまま俺を見ている。

「手…離してくんない?」

「あ、そう?」

 そういうとあっさり手を離して歩いて行った。

 何だ?変わった奴だなぁ…。

「…で、新人が入って暫く一緒につくから忙しいんだ」

 陸の仕事前にレストランで夕飯を一緒に食べている。

「そっか大変だね。あんまり飲みすぎないようにね?」

「麻衣、寂しくない?」

 陸の顔は誰が見ても寂しいって顔をしていた。

「大丈夫。うっとうしいくらいメールが来るから」

「…ひどい。」

 舌を出してからかった。

「あ、お兄さんと会った?」

「帰って来てるはずなのに、連絡がないし、現れないの」

「何それ?」

 うーん、変わり者だし、きっと今頃楽しくやってるんだと思う。

「あー、ごめんそろそろ行くわ」

「うん、行ってらっしゃい!」

 店の外へ出て歩いていく陸に手を振って見送ると急に走って戻って来た。

「忘れ物?」

「うん、大事なもの」

「何?席見てくる!」

 慌てて店の中に戻ろうとすると手を掴まれた。

 何?と麻衣は振り返ると後頭部を手で押さえられキスをされた。

「行って来ます!」

 私にウインクすると走って行った。

「ちょ、ちょっとぉ!」

 麻衣は周りの視線が痛くてそこから走って逃げ出した。


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