『-one-』

Let's Drive P2


 あぁ…免許は普通免許だったな。

「これ…Dの所まで動かして?ブレーキ踏んだままだぞ?そしたらサイドブレーキ下ろして」

 俺的には丁寧に説明したつもりだったのに。

「もっとゆっくり言ってよ」

 口を尖らせて拗ねている。

 いつもだったら可愛いって抱き着く所なのに全然そんな余裕もない。

「まずブブレーキ踏んで」

「ブレーキって左だよね?」

「麻衣!?」

 ジョークジョークって笑っている。

 本当にジョークだろうな…と不安が胸をよぎる。

「で、これをDまで動かして」

 手を置いてガチャガチャしてるだけだし。

「ここ押さないと動かないから」

 ボタンを指差した。

 ようやくドライブに入る。

「サイドブレーキを…」

「これは知ってるよっ!」

 張り切って下ろした。

 ほんとだコレは知ってるんだ。

 って今までの過程でサイドブレーキだけ!?

 車に乗ってから既に10分上経過してるし…

「陸?陸?次どうするの?」

 力いっぱいハンドルを握り締めて前を見ている。

「ブレーキからゆっくり足を離してアクセルをゆっくり優しく踏んでみて?」

 麻衣の足が動く…思わず自分の足に力が入った。

 これはその辺の絶叫マシンに乗るより恐怖を感じる…。

 車がジワジワと動き出した。

「きゃっ!う、動いた…」

 それは人が歩くより遅いスピード。

「もうちょっと踏んでもいいよ?」


「このままでいいよ!」

 いや…あんまり良くないから。

 これじゃあ車に乗ってる意味ないでしょ?

「もう少し踏まないと駐車場出るのに日が暮れるよ?」

 その言葉に頭をプルプル振っている。

「大丈夫。少しずつ踏んでみて、怖くないから」

 優しく話しかけるとようやく動き始めた。

「あ…走ってる」

 ほんとにようやく走ったよ。

「道に出る前に一旦停止して左右確認してから左に出ようか」

 き、聞いてる…?

 返事もせずに真っ直ぐ前を見ている。

 カックン!ってコレは仕方ないよね…。

 とりあえず一旦停止はOKか…。


[*前] | [次#]


コメントを書く * しおりを挟む

[戻る]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -