『-one-』

元カノ現る P3


 私ってこんなんだっけ?

 結局気になって部屋で待っている事が出来なくて店の前まで来てしまった。

 なんかこんな自分が嫌だな…。

「麻衣さん、こんばんはー!」

 店の中から悠斗くんが顔を出した。

「陸さん、同伴でまだ来てないですけど、どうします?」

 あの後…同伴だったんだ。

「…麻衣さん?」

「悠斗くんが相手してくれるなら?」

「もちろん、喜んで」

 中で飲んでいると暫くして陸がお店に来た。

 隣にはやっぱりあの子だ…。

「悠斗くん、最近あの子とよく同伴するの?」

「え?えぇ…そうみたいですね」

 胸の奥の方がザワザワと波立った。

「今日は陸をつけないでくれない?」

「え?でもそれは…」

「お願い…」

 本当はこんな事いけないって思った。

 陸を怒らせてしまうと分かっていても帰る事も陸と顔を合わせる事もどっちも出来そうになかった。

 悠斗くんは困ったような顔をして立ち上がった。

 一旦奥に入った陸が出て来た所を悠斗は捕まえて耳打ちした。

 陸は麻衣の方をチラッと見たのが分かった。

 仕事してる時の陸じゃ何を考えているのか分からない。

 いつもクールな顔して自分の気持ちを見せないから。

 二人は少し言葉を交わすと陸はあの子のテーブルへ歩いて行って悠斗くんが戻って来た。

「麻衣さん、まずいですって」

「グラス空になってるよ。」

 そう言って自分の持っているグラスを差し出した。

 お酒を作って私に手渡してくれるとそれも一気に飲み干した。

「ま、麻衣さん…陸さん怒ってますよ?」

「そぉ?」

 また空になったグラスを悠斗くんに黙って見せる。

 悠斗くんは困った顔をしながらもさっきと同じようにグラスを満たしてくれた。


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