『いつかの夏へ』
3

 いざ会うと決めてもなかなか行動に移せなかった。

 悶々と悩む日が何週間も続いた。

「あーーもぅっ!!」

 その目が覚めた私は両頬をパンパンッと叩いた。

 朝からよく晴れていて夏の日差しが照りつける。

 私は窓を全開にして掃除をした。

 洗濯をして、布団を干して、お風呂を磨き上げた。

 すっかりキレイになった部屋を見て煮え切らない自分はスッキリと吹っ切れていた。

 そしてキレイになったその部屋で携帯を手にして大きく深呼吸した。

 登録したばかりの番号を呼び出す。

「もしもし?今日時間ある?」

「いいよ」

「じゃあこの前の居酒屋に19時」

 用件だけ済ませすぐに電話を切った。

 もう立ち止まらない、後悔しない。

 私はもう迷わないと決めた。


 19時少し前居酒屋の入り口にてっちゃんが現れた。

「ヨッ!」

「ごめんね。急に呼び出して」

 てっちゃんしか今は頼れる人はいない。

 雅樹に私が会いたいと思ってる事を伝えてもらう役をお願いするつもりだ。

「いいって、俺暇だしー」

 とりあえずビールで乾杯!

 二人は他愛の話をしながら酒を酌み交わした。

 早く話を切り出したいのにどうも緊張してしまって関係ない話ばかりをしてしまう。

「真子ちゃん、今日はあんま飲まないじゃん?」

「へ?あぁ…えっとちょっと飲みすぎだったから自重してるの」

(そう…ほんとうに飲みすぎ)

 あの悶々と悩んでいた日々は毎日のように酒を飲んだ。

 まるで飲まずにはやっていられないとばかりに酒を煽っていた。

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