『いつかの夏へ』
6

「奈央達って何番?」

 ゲーセンの中にあるカラオケのカウンターにいるお兄さんに声を掛ける。

「7番」

 ありがとう!と言ってゲーセンを出て駐車場内に立つ小さなプレハブで出来た部屋のドアを開ける。

「ごめ〜ん!お待た…せ…?」

 ドアを開けると男の子が何人か交じっている。

 入り口に立ったままポカンと口を開けた。

「真子、遅ーい!」

「真子ちゃーん!よろしくぅ!満室でさぁ奈央が入れてくれたー」

 中尾くんが手を振るので私も振り返した。

 狭い部屋にひしめき合って座っている。

(定員オーバーだよね?)

 同じクラスだし満員なら仕方がないよね。

 みんな少しずつ詰めて座る場所を作ってくれた。

 入り口に一番近い席に座る。

 特別カラオケが好きなわけでもないから歌えなくても構わない、ただみんなと盛り上がって遊ぶのが好きなだけだった。

 盛り上がってるとまた入り口のドアが開いた。

 入り口に顔を向ける前に中尾くんのマイクを通した大きな声が響く。

「おっせーって!何やってたん?」

 耳を押さえながら入り口を見た。

(えぇっっ…)

 そこには仏頂面の瀬戸くんが立っていた。

「いちいち見んの面倒だから、外で待っとけよ」

「まーいいじゃん。ほらそこ座れよ!真子ちゃんちょっと詰めてやって」

 中尾くんはリモコンで私の隣を指している。

(詰めてって…どうやって)

 だが奥の人から少しずつずれるとギリギリ一人座れそうなスペースが出来た。

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