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夏祭り:意地恋のオマケ
夏祭りが終わったその夜。
気怠いを通り越して疲労困憊のかのこは、その身体の疲れとは反対に幸せな顔をして恋人の腕の中にいた。
「ねぇ、和真?」
和真の腕に抱かれ、温かい胸に顔を埋めていたかのこはずっと気になっていた疑問を口にした。
「どうして、あそこにいるって分かったの?」
「何が?」
「夏祭りの場所」
夏祭りには誘ったけれど、具体的な場所の説明まではしていなかった。
偶然という言葉で片付けるにはあまりに出来すぎている。
「さあな」
髪に指を絡め、うなじを撫でる和真の低く笑う声に、かのこは唇を尖らせて和真の身体の上でうつ伏せに向きを変えた。
「教えて」
「どこかに発信機でも付いているんじゃないか?」
和真ならありえる、と素直に思ってしまったかのこが、どこに付いているのか考えていると、和真の手が背中から腰へ滑っていく。
「探してやろうか?」
「……和、真?」
「俺を惹きつける秘密がこの身体のどこにあるのか」
「発……信機って、言ったのに……」
和真の指に熟れた場所をつつかれて、もう無理だと思っていた身体が再び熱くなる。
「ふ……、バカだな。発信機なんか必要ないだろ。お前はいつだって俺を求めて、俺にしか分からない匂いを発しているからな」
「匂い?」
「ああ、甘い。甘くてクラクラするのに、手を出さずにはいられない。特にベッドの中のお前の匂いは最高だ」
首筋を強く吸われてしなる身体に、熱くたぎった杭が打ち込まれた。
「あ……あっ、もうしないって……」
「抵抗してみるか? 嫌がるお前を組み伏せるのもまた一興」
身体がふわりと浮いたのは一瞬で、視界には和真の顔と天井が映る。
「抵抗、なんて……」
「しないのか? それなら、代わりの言葉を言ってみろ」
「たくさん、して欲しい」
「途中で根を上げるなよ」
きっとそれは無理、と思ったけれど……言葉にはならず、代わりの甘い嬌声もすぐに和真の唇に吸い取られた。
end
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