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「…目覚めるがいい、小波」


「ん、おはよう」

何か睡眠時間短かったのに頭がスッキリしてる


「どうした?」


「なんか、眠りが浅くて…」


「いい兆候だ、本格的な目覚めが近いのかもしれんな。そろそろ貴様も、自分が何者なのか気がついてもいい頃だ」


「は…?何言ってんだよ…俺は俺だ。」


「…フン、そう思いたければそれでもいい。オレの命令を、忠実にこなしてさえいるならな」

「何だよ、またぁ?」

「そうだ、また役目を与えてやろうというんだ。覚えているか、ライディング・ロイドの試作機を?
我々の秘密工場でアレが完成し、量産化の手はずが整った。貴様には、実験台として、そのプロトタイプと戦ってもらう。」


「いや、そんなのよりさ、今までを労って俺とデーt…あぐっ」

台詞を言いきる前にプラシドが剣の柄で顎を突いて強制終了させられた…
ガチンって鳴ったよガチンって。


「いよいよ、オレの計画がスタートするというわけだ。楽しみだろう?わかったなら、早速行くぞ。向かうは、旧サテライト地区の最深部だ」

「う、うぃ…」






「…フン、この辺りは廃墟が多いようだな。人間どもに言わせれば『荒涼とした』といったところだろうがオレにとっては、よくなじむ、見慣れた世界だ」


少し寂れたコンクリートの壁や剥き出しになった鉄線を見る目は、今までとは違う寂しそうな目だった


「オレたちのいた世界に住人は少なく、見渡す限りのガラクタが、ただ朽ちるのを待っていた。
それもこれも、愚かな人間どもが欲望の限りを尽くしたツケ、過去からの負債の結果だ…だが、この世界の多すぎる人間どもを、その混沌を見知った後では、無性にあの風景が懐かしい……」

……


「ちっ、貴様などにつまらん事を話してしまったな」


「いや、また少しプラシドを知れて俺は嬉しいよ」


「…っ!い、いずれ世界は、オレの意のままに姿を変える。今はただ、そのあるべき未来のために心血を注ぐだけだ…」


「プラシド…お前」


「神妙な顔をするな、小波。とっとと行くぞ!」

「…あぁ」





「これはこれはお待ちしておりました、長官閣下」


な、何なんだこの人物は…!奇抜過ぎる!!


「例のモノ、仕上がっているんだろうな?」


「はっ、どうぞご自身の目で確認ください」


そこには無機質なマネキンの様なロボットがいた

「いい出来だ。例の機能も、搭載済みだな?」

「はい、抜かりなく種も仕掛けも、このとおり…」


「…イーッヒッヒッヒ!」


「…うわぁ」

なんか、怖いよ。同じ人物が二人居ると…

「ご覧のとおり、外見を任意に変更可能です」


「フン、不気味なマネを…あとはインストールしたプログラムが役に立つかどうかだな」


「いやはや、アレを入手するのに苦労させられました。その見返り…と言っては何ですが」


「ああ?」

「チンピラかよ…」


「教えていただけませんか?これで、何をなさるおつもりなのかを…」


「ピエロめ、駆け引きのつもりか?」


このやり取りの間にも、俺のアキレス腱をローキックすることを怠らないプラシドは凄いと思ってるぜ!


「いっ、いえいえ、滅相もない!私は、長官の忠実なしもべでございます」

これ何プレイ?プラシドはそういう趣味なのか…

「そうとも忘れてないぞ、忠実なしもべよ。以前、試作機を持ち出そうとした時、貴様、わざとセキュリティをオレにけしかけただろう?」

「は…はて、何をおっしゃいますやら…」


「狙いは、サボタージュだな?使い走りの分際で、オレから主導権を奪おうとしたんだな?」しつけの悪い飼い犬には、罰を与えてやらねばならん。準備しろ、タッグデュエルだ」

プラシドは、やっぱり、Sなのか…最初にあのブーツのヒール見て勘づいていたのだよ


「ひぃっ、そそそれは、どういう…!?」

「そいつの評価試験に、貴様がタッグを組むんだよ。相手はこのオレと小波だ。ただし、ダメージシステムはそのまま適用される命を賭けた、制裁のデュエルだ!」

「プラシド、それ好きだね。やっぱり、ドSだったんd、げふっ」


グーだ。グーが飛んできた。しかも中指が悪意ある凸になってる。…これは酷い


「ひぃいいいい!?おっ、お待ちください、長官閣下!私には、愛する妻と息子もおります!お願いでございます!どうかお慈悲をっ、お慈悲を〜っ!!」


さっきので完全にビビってしまったイェーガーがスッゴい命乞いしていた。何だか可愛いなぁ小動物的な感じで



「嫌なら勝てばいいだけの事。さあ、小波、はじめるぞ」


「え、…わかったよ」











かなり厚い罠の壁を打ち破り、デュエルに勝つは勝ったけど…


『イーッヒッヒッヒ…ガガガ』


「これ……」



「馬鹿な、両方ともゴーストだと!?おのれ、ドングリピエロめ…味なマネを!ライフが0になる寸前、身代わりを立てて逃げやがった!」


「最近のピエロは凄いな」

…少し睨まれてしまった。ピリピリしてんなぁ

「…ほう、命の危険を感じたせいか、決死のデュエルが、わずかだがサーキットを刺激したか?これならば、使える!やはり、恐怖こそが人を駆り立て、目標を達成させるのだ」


「あぁ、…うん」


「見ていろ、小波、貴様の兄弟達が、貴様のように役に立つ日がすぐに来る!」


『……』



「これからは、オレの好きなように計画を進められるのだ!クックックックッ…ハーッハッハッハッハ!!」









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